「人権・民主主義・平和」を軸に=平和、人権、国民主権を守ろう!憲法フォーラム
掲載日:2013.06.27
6月25日、札幌市・かでる2.7で、国民の権利や自由を守るために国家権力を縛る「立憲主義」を否定する憲法改正に異義を唱えるため、第2回憲法問題連続講座「平和、人権、国民主権を守ろう!憲法フォーラム」~「戦争する国づくり」をすすめる憲法「改正」を許さない!が開かれた。
北海道平和運動フォーラム・江本秀春代表は、「改めて憲法の意義を考え、憲法改悪を許さないことを確認しあう集会にしたい。都議選で自公が圧勝したが今度の参議院選挙の結果によっては、日本のありようが大きく変わると思われる。自民党の改憲草案を見ると、この国をどこに行かせようとしているのか、深刻に考えざるを得ない」と述べあいさつした。
パネルディスカッションは、北海道大学大学院・山口二郎教授がコーディネーターとなり、パネリストに、上田文雄札幌市長、作家で活動家の雨宮処凛さん、北海道大学大学院・中島岳志准教授が、憲法について語り合った。概要は次のとおり。
中島:ここに来ているのは一般社会では極めて少数派だと自覚したほうがいい。その状況の中で憲法改正が取り沙汰されている。TPPなど(国民の権利や自由を守る)憲法の実質空洞化が起きている。今の若者が実感できるキーワードが必要。少数を尊重するのが民主主義だが、多数決は正しい(by安倍さん橋下さん)、という論調が主流になっている。立場・所得が違っても弱い立場の者は守る、というのが民主主義。町内会(1つのつながり)だけの社会は共同社会を崩壊させる。NPOなど多元的なつながりを構築することが必要。
② 憲法96条「改正」の意味を掘り下げる 立憲主義とは? なぜ憲法が必要か?
上田:基本的人権の尊重が近代における憲法の基本。それと権力(三権)分立。人類史的には安易に変えてはいけない。だから改正には厳しい手続きが必要になっている。
山口:憲法は民主主義の基本ルール。簡単に変えるようなものではない。国民投票を頻繁にするのは民主主義になるのか。投票するまでに考える時間が取れているのかということ。取れていなければ民意の反映にはならない。
③ 憲法を国民の手に 憲法は時代に合わない? 憲法の理想が国民に享受されているのか?
山口:憲法は立前で理念だが、今の風潮は心の本音を言う傾向がある。(在特会のヘイトスピーチ)
上田:人権を制限されているのが容認される雰囲気にある。
雨宮:リアリティがなく、実感がないのは危険。今でも表現の自由・人権が制限されている。ワーキングプアなど権利を侵害され守られていない者からすると、権利が守られている者を特権階級とみなして、引きずり下ろしたくなる。だから、改憲ムードが高まっている。
④ 9条をどう考えるか 改憲論の焦点は9条!? 安全保障、集団的自衛権とは?
上田:先の経験から、武力で人を従わせる思考をやめよう、と誓って9条ができた。変えると、日本の築き上げてきた国際的イメージを失う。
雨宮:正しいことを言うと、みんなは引いていく。アレンジした表現方法が必要。戦争は一番の貧困ビジネス。米国では学費支払いなどで借金漬けになった学生が軍隊へ行く流れがある。日本ではその流れを止めなければならない。
中島:日米安保とセットで考えないといけない。被害者は沖縄。これからは日米安保がない時代の生き方を考えて行かないとまずい。米中同盟で両国は大変な仲がいい。その時というより今、9条をどうするか、ということ。立憲主義で思考し、「自衛隊がしてはいけないことを国民に約束させる」ことを取り組みしていくなど。
⑤ 参議院選挙にむけて 参院選後の政治状況は? 何を考えて投票するか?
上田:日米地位協定は日米安保よりも内容がひどい。米軍が米国内でもできないことができる。ダメな政党を駄目だ、と言ってあきらめず、根気強く「こうしろ!」と要求することが必要。一刻もじっとすることなく政治を育てる運動をしよう。
雨宮:脱原発運動に期待している。自分の権利が守られることが実感できる取り組みが重要と思う。
中島:安倍政権に対抗する、堂々と未来を示せていないから、民主党は支持されていない。民主党は自民党とは別のビジョンの提示が必要。
山口:①(過度な悲観をせず)適度な楽観を持とう。民意は右傾化(安倍政権を礼讃支持)している訳ではない。この間の地方選、都議会の投票率、など。小さなことを積み上げるのにも意味はある。しかし、②ある種の危機意識は必要。民主党政権の「新しい公共、居場所や出番のある社会」などの良い変革、政策は安倍政権で消滅した。これに対応するには、民主党へ「人権・民主主義・平和」を軸に運動をするよう、言い続けるしかない。今日をきっかけにくじけず続けることを確認しよう。守られ、自分らしく生きるために大事なことだ。