原発は何の意味もない!あらゆる再稼働を認めない!=さようなら原発北海道集会・講演会
掲載日:2016.10.13
◆10月8日、札幌市・大通公園で「さようなら原発北海道集会」が開かれ、市民ら約2,500人が参加した。
呼びかけ人の、小野有五・北海道大学名誉教授は「泊原発で事故が起きた場合、豪雨などで道路はすぐ寸断されるのに、原発事故になれば道路は確実に寸断される。泊原発では最初から被爆を前提とした避難訓練しかしていないなかで、再稼働はとんでもない。逃げる場所は無い。泊原発は風上が悪いところにできた。泊原発をつくるとき、当時の専門家は大丈夫だと思っていた。しかし、南西沖地震や、サハリン地震などで、一番危ないところだったことが分かった。分かった以上は一刻も早く泊原発をとめないといけない。3.11以降日本中が地殻変動が活発で不安定な状態が続いている。私たちは、一番危険な泊原発の近くにいる。一刻も早く止めよう」と呼びかけた。
上田文雄・前札幌市長は「3.11で原発が大事故起こした。『原発は絶対安全』との神話が一瞬で崩壊したことを全国民が理解した。次につくり出した神話は、『電力が足りない』ということ。電力はこれから10年見越してもまったく問題なくやっていける。札幌市では13%の節電努力。全道でも10%前後の節電が実現した。原発がなくでもやれるという意識を拡げよう。私たちの運動は少数派ではない。原発の意味、再稼働の意味が北海道にとってどれほどのリスクを背負うことなのかを理解してもらうための努力をしよう。北海道で原発事故が起きれば北海道は崩壊する。反原発・泊原発はいらないという運動を広く深く広めて行こう」と述べた。
福島の避難者自治組織『桜会』代表・宍戸隆子さんは「福島原発から直線で52キロの場所に住んでいた。5年前の3月12日以降、音もなく、においもない、若干の鉄の臭いを感じながら容赦なく放射性物質が降り注いだ。原発事故でたくさんのものを奪われた。健康の不安、友人、住む場所も。原発事故は経験したが本当にひどいもの。私はたくさんのものを失ったが、北海道のみなさんにたくさんのものをいただいた。一刻も早く泊原発を止めて。私のような目に合わないでほしい」と訴えた。
その後、集会参加者全員で、プラカードを掲げ、原発再稼働反対をアピールした。
集会後はデモ行進し、「泊原発再稼働反対」「大間原発建設反対」などを市民らに訴えた。
◆集会の前日、10月7日には「さようなら原発北海道講演会」が開かれ、約300人が参加した。
北海道がんセンター・西尾正道名誉委員長が「長寿命放射性元素体内取込み症候群」についてと題して講演した。
西尾さんは「原発は事故だけでなく、稼働させるだけで健康被害が出ることが証明されている。その原因はトリチウムであり、放射線を出す水素。人間の体の61%が水。体内の水素にトリチウムが入ったら体から出ていかず、核に取り込まれる。そうなると、遺伝子構成に影響を与える。体内で放射線を出し続けることになる。水素として入ってヘリウムに変わり、人体影響の原因になる」と強調した。
また、「原発を稼働させることでトリチウムが出るが、泊・岩内町をはじめ原発稼働地域周辺では、住民や子どもの、白血病などの健康被害が出ている。原因は事故でないとすればトリチウムだと証明されている。事故があったら大変だからではなく原発稼働するだけで健康被害が出るという問題意識を持たなければならない」としたうえで、「私たちは放射線がどのように人体に影響を与えるのか、想像力や知識を持って予防原則の観点から考えていかなければならない。人間としての見識な判断で、泊原発を止めよう」と締めくくった。
その後、「破綻だらけの原発政策」と題して、ルポライターの鎌田さんが講演した。鎌田さんは、「原発の思想は、多数が死んでも少数派儲かればいいという露骨な思想。再稼働の思想は経営安定のため。原発事故前は、安い・安定と言っていたが破たんして、ひとつだけ残っている思想は経営安定。こんなデタラメは許されない」と批判した。
また、「再稼働は危険と汚染を強行するという暴力的行為の現れ。私たちは、原発がなくても生きていけることが明確になった。再稼働とは避難計画が条件になっている。こんなことを国が認めているが許されない。それは、戦争の論理と一緒で防空演習が前提となっていることと同じ」と強調した。
さらに「これまで、原子力政策に莫大なお金を使った。電力料金に原発に関するすべての経費が上乗せされている。国民の8割が原発反対になっている。もう原発は嫌だ。原発なくても支障はなかった。原発は何の意味もないことは明らかだ。あらゆる再稼働を認めないという力と意思で、原発政策を変えて平和で安心・安全な生活をつくろう」と呼びかけた。