安倍内閣による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の姿勢に対する中央フォーラム見解
掲載日:2013.03.13
安倍首相は、2月22日の日米首脳会談で「TPP交渉参加は聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」として、3月15日にも交渉への参加を表明しようとしています。しかし、日米首脳会談では「すべての物品を自由化交渉の対象にする」ことを確認しており、関税撤廃の例外を認めたものではありません。また、日本の交渉参加には、交渉参加国すべての承認が必要であり、関税撤廃を強く主張しているオーストラリアやニュージーランドは例外を認めないとしています。
TPP交渉は農産物の関税の問題ではなく多方面にわたり、国民生活や行政、経済活動などへの大きく影響するものです。自民党は総選挙時に、TPPに関して6項目の条件を掲げ、「国民皆保険制度を守る」「食の安全安心の基準を守る」「ISD条項は合意しない」「政府調達・金融サービス等はわが国の特性を踏まえる」などを公約にしました。これらの点が守られるかどうか明確になっておらず、また、交渉に参加してから離脱することは事実上不可能とされています。
こうしたことから、中央フォーラムは、農民団体や消費者団体とともに、3月28日に下記の中央集会および要請行動を行うこととしました。
また、政府が十分な情報を開示せず、国民的議論を行うこともなく、性急にTPP交渉への参加表明を行うことに対する見解をまとめましたので、ご案内いたします。
≪性急すぎるTPP交渉参加の撤回を求める生産者・消費者行動≫
◇ 日 時 2013年3月28日(木)13:30~16:00
◇場 所 参議院議員会館1F101会議室(地下鉄「永田町」「国会議事堂前」下車)
以下、安倍内閣による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の姿勢に対する中央フォーラム見解
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安倍内閣による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の姿勢に対する見解
2013年3月12日
フォーラム平和・人権・環境
事務局長 藤本 泰成
いま、安倍晋三首相は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加の姿勢を強めており、近日中にも表明を行うのではないかとの見方が広まっています。
安倍首相は、去る2月22日におこなわれた日米首脳会談で、「TPP交渉参加は聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」としています。しかし、日米首脳会談では、「全ての物品を自由化交渉の対象にする」ことを確認しており、関税撤廃の例外を認めたわけではなく、これまでの米国の姿勢から一歩も変わるものではありません。また、日本の交渉参加には交渉参加国全ての国の承認が必要であり、関税撤廃を強く主張しているオーストラリアとニュージーランドは例外を認めないとしています。
さらに、TPP交渉は農産物の関税だけの問題ではなく、国民生活や行政、経済活動など多方面にわたって影響するものです。自民党は先の衆議院総選挙時に、TPPに関して6項目の条件を掲げ、その中で、「国民皆保険制度を守る」「食の安全安心の基準を守る」「ISD 条項(投資家による国の訴訟権)は合意しない」「政府調達・金融サービス等はわが国の特性を踏まえる」などを公約としました。これらの点が守られるかどうかも明確になっていません。
しかも、既存の参加国間で既に合意した事項に対し、後から参加した国が再協議を求めたり、拒否したりすることができず、すべての受け入れを求められることも明らかになりました。今年の10月頃の合意をめざすとされるTPP交渉に、仮に日本が今から参加表明をしたとしても、米国議会での承認手続きなどから、実際の交渉参加は早くても合意直前であり、日本の主張を反映させることは困難です。また、交渉に参加してから離脱することは事実上不可能と言われています。
こうしたことについて、いまだに政府から情報の開示もなく、国民的議論も行われていません。民主党政権時には、2012年だけでも政府と国民との意見交換会は87回行われてきましたが、自公政権になってからは1度も開かれていません。また、多くの自治体ではTPP交渉参加に反対または慎重に行うよう求める意見書が出されています。これは、農業などを中心とした第一次産業が壊滅的な影響を受けるばかりではなく、日本が長きに渡って培ってきた「社会的共通資本」「地域公共サービス」に大きな打撃を与えるからです。
このような情勢の中で、政府が十分な情報を開示せず、国民的議論を行うことなく、性急にTPP交渉への参加表明を行うことについて、平和フォーラムは強く反対します。私たちは、今後、多くの団体と連携して政府の動きを監視し、TPP交渉参加を表明するような事態に対しては、強く抗議し、その撤回を求めて運動を進めます。
以 上