【道民運動】平和運動への実質的規制させない!「重要土地調査規制法案」に反対!=北海道平和運動フォーラムが見解を発出
掲載日:2021.05.14
2021年5月11日、「重要土地調査規制法案」が衆院本会議で審議入りとなりました。
この法案は、原子力発電所や基地などの「重要施設」の周辺区域の土地が「機能を阻害する行為の用に供される」ことを防止するために制定する、とされています。
要は、原発や基地の”機能を阻害する行為に利用される恐れがある”と政府が判断した時には、
政府によって原発や基地の周辺地域の土地の利用の中止勧告・命令ができる、またこれに加え、一定面積以上の土地売買には利用目的の事前届け出が義務付けられる、とするなど、政府による恣意的運用が可能な内容となっています。
このことは、平和運動への実質的規制につながりかねず、憲法で保障された財産権や基本的人権そのものを侵害しかねない内容となっており、人権保障の観点からも決して容認できません。
国会では今後、衆議院内閣委員会で法案の審議が行われることになっており、6月16日の会期末までの取り組みで、この法案を「審議未了」として廃案にしていく必要があることから、北海道平和運動フォーラムは、「重要土地調査規制法案」に対し見解を発出しましたのでお知らせします。
「重要土地調査規制法案」に反対する北海道平和運動フォーラム見解
5月11日、「重要土地調査規制法案 (重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)」が衆院本会議で審議入りとなった。この法案は、原子力発電所や基地などの「重要施設」の周辺区域の土地が「機能を阻害する行為の用に供される」ことを防止するために制定するとされており、適用区域として「注視区域」と「特別注視区域」が設定される。
「注視区域」と「特別注視区域」については、政府に利用実態の調査権限が付与され、調査結果をふまえて、対象施設の機能を阻害する行為に利用される恐れがあると判断された時には、政府は中止勧告・命令ができる。またこれに加え、「特別注視区域」では、一定面積以上の土地売買に、利用目的の事前届け出が義務付けられる。従わない場合は2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科され、また虚偽申請にも罰則が設けられる。
「利用実態の調査権限」付与とは、基地や原発周辺1㎞の規制範囲に居住する市民や平和団体事務所等の所有者について、政府が職歴や戸籍、利用の実態などの情報を調査・収集できることを意味する。言い換えると、個人情報の収集作業を通して、個人や平和団体などの動向を監視することを可能とするものである。この法律によって、例えば、自衛隊関連施設や原発の近くで反対運動をしている人たちの思想・信条に、政府が勝手に立ち入るおそれがあり、平和運動への実質的規制につながりかねない。とりわけ、道内には市街地に自衛隊関連施設が隣接されている地域も多く存在することから、多数の民有地が調査・規制の対象となり、広範な私権制限がなされる危険がある。さらに、法案では、具体的な規制区域や必要とされる個人情報の提供などについて、政令や告示で個別指定されることとなっているため、政府による恣意的運用が可能である。特に、「特別注視区域」に指定された区域では、「事前届け出」の際に、政令で調査項目が歯止めなく拡大することが懸念される。
以上の通り、本法案は、安全保障の名を借りた軍事主義の拡大・推進のために日本国憲法第29条で保障された財産権を侵害しかねないだけでなく、個人情報の過度な調査によって、プライバシーの権利(憲法第13条)などの基本的人権そのものを侵害しかねない内容となっている。安全保障と言えば私権の制限をいかようにも正当化できると言わんばかりの内容は、人権保障の観点からけっして容認できないものである。
国会では今後、衆議院内閣委員会で法案の審議が行われることになっている。6月16日の会期末までのとりくみで、この法案を「審議未了」として、廃案にしていく必要がある。このためには、いま、反対の声を大きく上げていかねばならない。
北海道平和運動フォーラムは、本法案に反対するすべての市民団体や労働組合、各級議員などと連携し、廃案のとりくみに全力を挙げることを表明する。
以 上
2021年5月13日 北海道平和運動フォーラム