「9条明文改憲の問題」憲法問題連続講座①
掲載日:2017.11.15
11月7日、札幌市・北海道自治労会館で、「第16回憲法問題連続講座」の第1回目が開かれました。
講座内容を3回に分けて内容をご紹介します。第1回目は、清末愛砂さん(室蘭工業大学准教授)による「9条明文改憲の問題」です。
安倍首相は、2017年5月3日に、憲法を改正する発言をしましたが、その中で「自衛隊を憲法に明記する」と発言しました。しかし、自衛隊を憲法に明記することによって、様々な影響が出てきます。
●自衛隊を明記することによって、1項・2項が意味のないものになり、9条が大きく変わってしまいます。
自衛隊を「3項」に加憲することによって、9条が平和条項ではなく、国防的な条項になり、平和主義が崩壊してしまい、三大原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)に反することになります。
●キーワード「安全保障」「自衛」「国防」「脅威」「対テロ」
自衛隊を明記することによって、憲法上の公的な存在になり、安全保障法関連法によって任務が拡大されている現状と合わせると、北朝鮮の脅威を煽り軍事費が拡大され、社会保障費が削減されていきます。そして、国防のもとで軍事研究が促進され、事実上の徴兵に近い制度も導入されてしまいます。対テロのもと共謀罪がすでに法制化された中、さらに市民監視や「公共の秩序の維持」の名のもとで市民弾圧が強化されます。
●自衛隊は、侵略性を帯びた軍隊に変わっていく。
集団的自衛権が、憲法上も容認され「自衛」の名のもとで武力行使が何でもできるようになってしまいます。
集団的自衛権は、大国による小国への侵略として用いられてきました。「歴史は語る!」からこそ、1946年に日本国憲法のもとに生きること、すなわち戦争や武力行使、軍事化の被害者にも加害者にもならないという懸命な選択を日本社会はしたのです。
●憲法が変わると法律も変わる。
そもそも、この間は自衛隊が明記されていないことで支障が出てきたことはありませんでした。むしろ、自衛隊が明記されることによって様々な問題が出来てきます。自衛隊が軍事活動するための規定や法の改正が行われ、軍の秘密保持のための「軍法会議」の設置や日本に駐留する米軍に対する「日米地位協定」に近い制度が導入されます。
私たちが、自衛隊が必要と答えるのは、災害救助をはじめとする、自衛隊の従たる業務がメインで、自衛隊が戦争に参加することを誰も望んではいないのです。
→第2回は、池田賢太さん(弁護士)による「教育の無償化・参院合区解消の問題」です。